子供向け業務用カードゲーム機ヒット、セガ未来研究開発部長植村比呂志さん

日経MJを読み解く!

 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 2003年9月16日 〓〓〓〓〓〓 

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 ◆◆◆ 日経MJに見るマーケティングの戦略・戦術 222号 ◆◆◆

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      〜〜〜【マーケティング実践者に学ぶ】〜〜〜
            ピンチはチャンスである。
      切羽詰ったとき、どのように思考を巡らすか。

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 ━━━━━━━━━━ 2003年9月9日付日経MJ3面より引用 ━━━

 ■セガが一月に商品化した業務用カードゲーム機「甲虫王者ムシキング」
 が男子小学生の間で人気だ。

 ■未来研究開発部の植村比呂志部長は、室内型テーマパーク「ジョイポ
 リス」事業を担当する同部解体への危機感が商品化の原動力だったと語
 る。

 ■「原点に戻ろう」。植村さんらはセガが強みを持つ業務用ゲーム機で
 強力な製品開発を目指す方針を確認。子供が大好きなカブトムシやクワ
 ガタムシを画面上で戦わせれば受けるとの仮説を立てた。さらに、子供
 たちに人気のカードゲームの要素を組み合わせれば……。

 ■マニア向けゲーム機に強いセガは子供向けゲーム機では実績がない。
 そこで販売すれば40万円程度する機械本体は無料レンタルにして施設側
 の初期投資負担をなくし、セガはカードに開発費を上乗せして利益を出
 すことにした。機械の普及が一気に進み知名度がアップ、ブームが巻き
 起こった。

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    わかったゾ!!! これぞマーケティングの極意なり。
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 ●まるでプロジェクトXみたいですね。瀬戸際まで追い込まれた男の逆
 転のドラマです。このメルマガでは基本的にマーケティングの方法を解
 説していますが、マーケティングを真剣にやろうと思うかどうかは方法
 論の話ではありません。精神的姿勢の問題になります。

 ●ピンチというのは、見方を変えるとチャンスなのですが、なかなかピ
 ンチのときに「今がチャンス」とは思えませんね。しかし、このような
 実例を読むと、この言葉にも説得力が出てきます。人は追い込まれると
 通常では考えられないパワーを発揮するもののようです。

 ●植村さん(記事横のプロフィールに1989年大学卒業とあるので、おそ
 らく30代後半の方でしょう)は、もし新事業立ち上げに失敗すれば、自
 らが所属している未来研究開発部を解体されるという危機に直面しまし
 た。

 ●このようなとき、リーダーはメンバーに向かって、戦略方針と断固と
 した姿勢を示す必要があります。部門が解体されるかもしれないとなれ
 ば、メンバーは不安でいっぱいになりますね。不安なまま戦えば、部隊
 は総崩れになります。敵前逃亡する人間が続出してしまいかねません。

 ●「うちの会社、危ないらしい」というウワサが広がったとき、早速新
 聞の求人欄を見る社員が多いか、それとも社長を中心に一致団結して戦
 い抜こうとする社員が多いか。これは、普段からいかに社内でリーダー
 とメンバーとの間で信頼関係が築かれているかにかかってきます。

 ●さて、植村さんたちは、自社の強みを最大限に生かす方針でいくこと
 を確認しました。「業務用ゲーム機で強力な製品開発を目指す」という
 ことです。これは逆に言えば、家庭用ゲーム機など業務用ゲーム機以外
 のものは作らないことを意味します。方針の決定とは、枠を決めること
 なのです。

 ●製品やサービスを開発するときには、全くの無から有を生むことはあ
 りません。必ず、何かと何かの組み合わせになります。植村さんたちは、
 ターゲットである子供が好きなもの同士を組み合わせました。「甲虫」
 と「戦い」と「カード」ですね。

 ●そして、自信作であるゲーム機ができましたが、新事業が成功したこ
 とを明確に示して部門の解体を回避するためには、徐々に売れるという
 のではダメだと判断したのではないでしょうか。一気に広げる作戦を実
 行しました。

 ●ゲーム機40万円は施設側に売って子供が購入するカードの価格は安く
 設定すれば、エンドユーザーである子供は利用しやすくなりますが、施
 設側が初期にゲーム機を数多く購入することは期待できないでしょう。
 同社は子供向けゲーム機で実績が無いとのことですし、施設側も購入は
 慎重になります。そうすると、広がるスピードは遅くなってしまいます。

 ●逆にゲーム機を無料レンタルにしてカードの価格を高めに設定すれば、
 今度はゲーム機は普及しても子供にとっての負担が重く、人気が出にく
 くなる可能性があります。「カードの価格がいくらまでであれば、子供
 は、あるいは子供の親はお金を出すか」が大きなポイントだったでしょ
 う。引用した以外のところにカード1枚100円とあります。結果はみご
 と成功となりました。

 ●かなり価格が高い気がしますが、うまくいったのは、ゲーム機がぴっ
 たり男子小学生のウォンツに合ったことに加えて、少子化でお金を出す
 親や祖父母が多いことが背景にあるのではないでしょうか。価格決定前
 に、一部の店舗でテストマーケティングもきちんと実施したでしょう。

 ●こうして、植村さんはピンチをチャンスとして生かすことができまし
 た。植村さんは「誰に」、「何を」、「どのように」という戦略の基本
 をきちんと設定しています。セガという大企業であっても、成功するか
 否かは、植村さんのケースのように個々の人間の思考内容にかかってく
 るのです。

 ――――――――――――― 今日はここまで (^o^) ―――――――

 ■■■ちょっと一言

 私が高校生のときにインベーダーゲームがはやりました。確かゲーム1
 回100円で高校生にとって安くはありませんでしたが、結構やりました。
 100円玉を投入するとき、「今度こそ1番目の画面をクリアしてやるぞ」
 などと気合を入れてゲームに臨んだものです。コストをかけて成果を上
 げようとする姿勢は事業をやるのと一緒ですね。

 以前テレビを見ていたら、ある女性経営者が「あなたにとって仕事とは
 何ですか」と聞かれ、「私にとって仕事とは、命がけの趣味です」と答
 えていました。事業は命がけのゲームのようなものですね。困難が大き
 いほど、達成感も大きいでしょう。ハラハラドキドキを味わうために生
 まれてきたのかも。(#^.^#)

  

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